Vol.16スーツケースを末永く綺麗に愛用するコツ(車輪を長持ちさせる持ち方)
スーツケースの故障トラブルを防ぐコツ ~はじめに~
スーツケースを永く良好な状態で愛用し続けるには、逆に「どうしたら壊れるのか」や「どんなトラブルがあるのか」を考えてみるのが効果的だと思いました。
中谷かばん店の店頭で「たすけて~」と修理依頼の持ち込みSOSがありますがその中でも修理部分として多いTOP4を挙げながらアドバイスいたしますネ。
修理依頼件数 No.1 【車輪(後輪)がすり減った。取れた。折れた】
ダントツ1位のトラブルです。ほぼ「4輪のスーツケース」だけと言っても過言ではないほど。
しかも、背面側の「後輪」2つに頻発!なぜでしょう?
①背面側...タイやのゴムが半分削れてしまっている
②表面側...良好。まだまだ使える。
- 【原因】
キャリーバッグ、手前に傾けて走行していませんか? -
傾けて走行するのは「2輪型かばん」だけ。
本来「4輪型かばん」は4輪すべて地面に着いた状態で平行移動して使用します。
(10人中7~8人はご存知ないかもしれません)お気づきでしたか?4輪は2輪よりも「車輪が小さい」です。
鞄を傾けて走行すると小さな車輪たった2つだけで鞄を支えることになります。
本来「4輪全部」で鞄を支える構造なので、2輪だけでは耐え切れません。
どおりで、後輪だけが早く傷むはずですよね。

かつて「2輪」を斜めにして使用している映画やTVのワンシーンパイロットやCA役の俳優さんのイメージがそのまま頭にこびり付いているのでは?と、中谷は思います。。。
車輪1個の平均価格は@3,500円前後。
交換の際はゴムのすり減り具合を見て最低2個セットで交換されます。
(例)
車輪2個 @3,500×2個=@7,000(+消費税)
往復送料 @1,000×2=@2,000(+消費税)↓車輪2個の修理合計 ¥9,000(+消費税)
高額です!正しい使い方で長く愛用してくださいね・
スーツケースの修理/見積についてはこちらをご参照ください
修理依頼件数 No.2【プルアップ(バー)が動かない。収納できなくなった】
2輪型かばん、4輪型かばん両方ともに共通して起こります。・・・が
こちらも上記と同様、正しい使い方をすれば防げるトラブルです。
- 【原因】
階段、ちょっとした段差でスーツケースを「持ち上げる」際に「バー」を持ち上げてしまうと発生。 -
プルアップバーはキャリーバッグの走行を助けるものです。
上に持ち上げるための構造ではありません。
荷物を入れた重い状態で上に持ち上げるとバーの中の部品がズレたり、重みで破損します。このバーがグラグラするけど大丈夫?という質問を頂きます。
1段階~4段階と高さを調節するバーなのであえてガッチリ固定しません。
さらに、走行中は左右前後と力の重心が変わりますからわざと「力を逃がす」ために「グラグラ」させます。段差、階段、電車の棚やロッカーから取り出す際はかならず「本体部分の持ち手」を使用してください。
※この修理の大半は「バーの交換」になります。
メーカーによって部品や構造が異なるため、修理も製造メーカーが手がけます。
同じ部品が無い場合は、代替え又は修理不可能の場合もあります。
スーツケースの修理/見積についてはこちらをご参照ください
修理依頼件数 No.3【スーツケース本体が閉じれない/開閉時に引っかかる】
フライトを終えて、一度鞄を開けてから閉めようとしたら閉められなくなっていた...というパターンも。
航空会社、運送会社の「取扱い」によって不運にも被害に遭われることもありますし「荷造り」でのタブー(やってはいけないこと)が原因の時もあります。フレーム型のスーツケースに見られます。
- 【原因】
空港でスーツケースを預けた際、係りの人に投げられたり他の荷物との接触で衝撃を受けた際に起こるトラブルです。 -
例えば落下した衝撃で「蝶番:ちょうつがい」部分に歪み、ネジ外れ、フレーム自体が変形して発生します。
無茶苦茶な荷造り「容量オーバー」にもかかわらず無理やり荷物を突っ込みフタを閉じた時にも発生します。
荷物入れすぎで無理やり閉じたスーツケースを海外の空港でボンボコ投げられると、少しの衝撃でも全開という最悪のトラブルを起こしやすくなります。荷造りは適量で。無理して閉めない。海外渡航など「預かり荷物」として航空会社に提出するときは「ケースベルト」を巻かれると良いでしょう。
(中谷も一度ベルトで助かりました。全開を免れました)
ファスナータイプのスーツケースはファスナー自体に不具合が生じることがほとんどです。
ファスナー全交換になるとかなり高額&修理すら断られることも。ファスナー回りはスッキリと無理強いしないようにくれぐれもお気を付けください。
この場合はフレームの歪みの矯正や蝶番の交換などの修理になります。本体(シェル)交換/フレーム交換の際同じ部品が無い場合は修理不可能の場合もあります。
スーツケースの修理/見積についてはこちらをご参照ください
修理依頼件数 No.4【スーツケース本体の陥没/亀裂】
フライトを終えて、スーツケースを取りに行ったら亀裂が!!航空会社、運送会社の「配送」「取扱い」によって不運にも被害に遭われた時のためにワンポイントアドバイス。
- 【原因】
これはもう、不運な事故としか言いようがない....
意図せず粗末な扱いを受けてしまった場合もありますが -
今まで荷物預かりの際に「HEAVY」ヘビーシールを貼られたことはありませんか?
約20kg前後になると「このかばんは重いです」という印をつけられます。
そして「重いので、途中トラブルがあっても航空会社は責任を持ちません」と一言添えられます。重いが故に、少しの衝撃でも陥没や亀裂が入りやすくなるからです。車輪周辺も陥没しやすくなります。2014年現在、世界の航空会社の規定では(LCCを除く)エコノミークラスで100席以上の旅客機の場合預け入れ荷物1点あたり約20kgが目安です。
HEAVYシールを貼られなかったのにフライトの後で亀裂や陥没を発見したらすみやかに、航空会社の係員さんに「破損証明書」を発行して貰って下さい。
荷物を受け取り出口から外に出てしまうと書類請求できなくなります。
破損証明書は旅行の保険請求に必要な書類の1つ。破損させた航空会社が修理を請け負う場合もあります。
陥没だけの場合は加熱処理等で復元する可能性が高いですが、亀裂は「本体:シェル」交換になります。
亀裂部分に樹脂などで溶接しても強度が圧倒的に落ち再び亀裂が入りやすくなるので溶接はほとんど受付られません。
(シェル)交換の際に同じ部品が無い場合は修理不可能の場合もあります。
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